本当に大切なもの

2016年4月に部長昇進。
入社同期でも部長にまで昇進するのはほんの一握り。
俺の人生、うまくいっている。
そう思っていた。

 

正直、これまで大きな挫折を経験したことはない。
高校、大学とも、第一志望に現役で合格。
卒業後は、大手損害保険会社に入社。
入社後も評価され、企業派遣で2年間のMBA留学。
その後は一貫して本社の中枢とも言える仕事を経験した。

 

そんな自分が部長になった。
それまで一人でする専門分野の仕事が多かった自分。
マネジメントという経験をほとんどせずに、100人の部下を抱える部長になってしまった。

 

思ったように仕事が進まない

まず、絶対的に時間がない。

直属の部下である17人の課長の話をきくだけでも一苦労。
上司からは毎日のように電話やメールで質問や問題が山積みされる。
仕事が回らない。
明らかに部下に迷惑をかけてしまっている。

 

一計を案じ、ホワイトボードを机の後ろに設置し、部下に指示した仕事を全部書いていった。
終わらない仕事はずっと消えずに残ったまま。
部下はそれを見て「パワハラボード」と呼ぶようになっていた。

 

そんな時、就職したばかりの後輩と出会う

同じ高校の、実に30年違い。
彼女は本当に嬉しそうに、良い会社に就職できたと僕に語りかけてくれた。
とにかく社長が素晴らしい人なんだと。
目をキラキラさせながら語るその姿に、その社長ってどんな人なんだろう、と考えた。

 

直後に、彼女からメールが届く。
その社長が講師を務める講座の無料説明会の案内だ。
メールもらって4日後に返信した。行くよと。
仕事で困っているということももちろんあった。
でも正直言うと、可愛い後輩が頑張っているのを応援したいという気持ちの方が強かった。

 

CDが送られてきた。事前に聴いてみてくださいと。
届いて1ヵ月ほど放置していたが、説明会が近づいたこともあり、ようやく聴いてみる。

 

衝撃が走った。

 

これは何だ?

CDで講師が訴えていたのはピラミッド。
人生の土台に人生理念を置き、その上に人生ビジョンを積み上げる。
人生理念と人生ビジョンを合わせたものを人生の目的という。
その上にはじめて目標が来て、計画化、日々の実践と積み上げていく。
そして、人生理念から日々の実践まで一貫性を通した行動が大切という。

 

かつてMBAでこんな言葉を学んだ。
「ビジネスの目的はシンプル。Make Money」
当時はバブル経済の真っただ中。なるほどと肚落ちしていた。
とにかく、お金を稼ぐことが一番大切、と信じていた。

 

しかしCDでは、人生の目的が大切。目的から一貫性が取れているか、と言っている。
それは僕が永らくどこかに置き忘れていたものだった。
とにかく受けてみよう。うだるような昼下がりに五反田の坂を上り、申し込んだ。

 

最初の受講は2016年9月

一番前の端の席に座った。
入ってくる講師の言葉が全て新鮮だった。

 

3日目にこんな時間がある。

「あなたはできる」
「あなたには価値がある」
「あなたはあなたのままで素晴らしい」

この言葉を目の前の人に対してひたすら発し続ける。
相手からその言葉のシャワーを浴びている時に思い出したのは、母。

子供の頃からずっと自分を励まし続けてくれた優しい母。
目の前の人の顔が母と重なり、涙が止まらなくなった。

 

2カ月後に受講した実践型コースの3日目の演習。
ここで講師の言葉によって思い出したのは、父。
かつて会社経営に行き詰まり、一人姿を消した父。
再会後も金銭のトラブルから、もう二度と会わないと決めた父。
そんな父が、突然僕の瞼に浮かんできた。

 

思い出したのは、団地の広場でキャッチボールをしてくれた優しい父。
嘘をついて友達と遠出したことがばれたとき、優しい言葉で僕を諭してくれた父。
一緒に銭湯に行き、家でテレビを見ながら家族全員で過ごした大晦日。
生き方は不器用だけれど、僕はそんな父がやっぱり好きだった。

 

たまらず、父に電話をかける

でも誰も電話には出ない。
夜にもう一度かける。やはり出ない。
翌日もまた。その翌日も。

 

結局、2ヵ月後に次のコースを受講するまでその状態は続いた。

初日に「完了」という演習がある。
過去に自分に起こった許せないこと、これを完了する。

 

完了しようとしたのは父のこと。父に対する心の叫びを繰り返す。
しかし、完了できない。

チームのメンバーに初めて父のことを自己開示した。
話しているうちに、自分の思いに素直になれた。
そして、このままではだめだという思いがどんどん強くなった。

 

翌週末、僕は夜行列車に乗っていた

そこにいるかどうかもわからない父。
でもやはり自分の足で、自分の目で確かめておきたい。

 

玄関について恐る恐るベルを鳴らすと、一緒に暮らす女性が現れる。
彼女はすぐに家の中の父に声を掛ける。「お父さん、孝さんが来たよ!」
僕の口から出たのは謝罪の言葉だった。「これまで本当にごめん」
父とのわだかまりを乗り越えることができた瞬間だった。

 

その父は、今年86歳の生涯を閉じた。
再会してから2年と5ヵ月という短い時間。
でも僕にとってはかけがえのない時間。

 

「間に合ってよかった」

 

この学びと出会うのが少しでも遅かったら、一生後悔を残して生きていくことになっただろう。

そしてその出会いは、一度名刺交換をしただけの、30歳年下の新社会人の小さな勇気から始まった。

 

その勇気に恩返しをするために、僕はこの情報を伝えていく。
プロスピーカーとして、自分に縁あるすべての人の幸せに貢献するために。
それが僕の使命。それが本気で実行するリーダーとしての在り方。
これから僕は、貢献の人生を歩んでいく。

 

長文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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